高額療養費「見直し白紙」でも残る「当事者置き去り」不安…患者団体の審議会入りを石破首相は保留
「なぜ今年の秋なのか」
10日の参院予算委で、立憲民主党の徳永エリ議員が「参院選が終わったら、同じような引き上げ案が出てくるのではないか、強行されるのではないか」と指摘。石破首相は「(引き上げ見送りは)選挙目当てではない」「強行することもない」と明言し、「患者ファースト」を強調した。
しかし、各論に入ると歯切れが悪い。制度のあり方を議論する厚労省の社会保障審議会(医療保険部会)をめぐり、徳永議員が「患者団体の代表の方に入っていただくことが一番良い」と提案したが、石破は「委員に加えることは今ここで断言できない」と答えを保留した。
これに肩を落としたのが、予算委を傍聴していた全国がん患者団体連合会(全がん連)の轟浩美理事だ。国会内で開かれた立憲主催のヒアリングに出席し、首相答弁に関して疑問を投げかけた。
「なぜ今年の秋に(議論の)お尻を決めているのか、なぜ『丁寧に意見を聞く』と言いながら、ここ(期限)が決まっているのか。今も釈然としておりません」
「審議会の中に患者団体の代表を入れるべきなのではないかという質問に、総理も厚労大臣もそのお考えはあまりないというような発言があったとき、むなしさを感じました」
療養費制度の見直しは、昨年末の医療保険部会で約1カ月間のわずか4回の議論で決められた経緯がある。再検討の場に患者を呼ばずして、理解も納得もない。
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政府・与党の国会運営は被災地軽視そのもの。14回目の3月11日になんと、衆院本会議開催を要請していたからだ。関連記事【もっと読むで詳しく報じている。