フェラーリとも手を組む注目実業家の「儲けの思考と信条」 きっかけはニーチェの哲学書
「やりたくないことはやらなくていい」
しかしさまざまな理由で、すぐ別の事業に軸足を移してしまう。一番大きいのは、さらに面白そうなことが見つかったからだろう。「お金を稼ぐのはゲームでスコアを増やすのと同じ」とうそぶき、「やりたくないことはやらなくていい」を信条とする。金儲けに執着していないのだ。
「やりたくないことはやらなくていいと言うと、単なるワガママと思われがちですが、それは違います。例えば、毎日満員電車に乗って苦痛に耐えるのは我慢。格闘技で強くなるために朝早く起きて練習するのは忍耐。忍耐は自分を高めるのに必要だけど、我慢は自分をすり減らすだけだから意味がない。僕は就職だけでなく、人を育てたりするのも苦手なので、そういうことは今の会社では一切しません。必要な時に必要なスキルを持っている人を集めればいい。それが僕にとって、一番ストレスなく面白いことができるやり方なんです」
座右の銘は「人生は死ぬまでの暇つぶし」。毎日が「最高に面白い」といい、いまわの際も「ああ、こうやって死ぬんだ、オモロ!」と思いながら命尽き果てたいという。あらゆる物事に執着せず、自分の好奇心に従って生きる。これがYUGO流の金儲けの秘訣なのかもしれない。
(取材・文=いからしひろき)
▽YUGO(ゆうご/本名:板垣雄吾)1980年、青森県出身。大学卒業後、プロの総合格闘家になるも、興行のあり方に疑問を抱き、志半ばで挫折。30歳の時に一念発起して女性向けアダルトグッズのネット通販を始める。その後手掛けたスマートフォンの修理事業が成功し、全国20店舗まで拡大。2020年にF1レーシングチーム「スクーデリア・フェラーリ」とパートナーシップ契約を締結。同年、完全会員制・住所非公開のパフェバーを渋谷にオープン。21年には1分1ラウンドの総合格闘技大会「BreakingDown」をプロデュース。著書に「やりたくないことはやらなくていい」(幻冬舎)がある。