フェラーリとも手を組む注目実業家の「儲けの思考と信条」 きっかけはニーチェの哲学書
ニーチェの哲学書を読んで一念発起
「大学時代にボクシングのプロライセンスを取り、卒業後は総合格闘技の世界へ行きました。就職したくなくて、好きだった格闘技で稼ごうと思ったのです」
プロレス出身の格闘家・田村潔司氏の主宰するジム「U-FILE CAMP」へ入門。プロの総合格闘家として有明コロシアムでデビューするも、やがて興行のあり方に疑問を抱くように。
「なぜ大して強くもないタレントが試合に出られるのか。今なら分かりますが、当時はそうした大人の事情が理解できませんでした」
そのうち練習をサボるようになり、パチンコ漬けの毎日に。そんな現状を変えてくれたのが、28歳で結婚した妻と、29歳で生まれた第1子、そして偉人の言葉だ。
たまたまパチンコ屋近くの図書館で目についたニーチェの哲学書を読み、衝撃を受ける。
「例えば、ルサンチマンという言葉は、弱者が強者に対して抱く怒りや憎悪、嫉妬のことを言うとニーチェは書いている。これ、テレビの政治家に毒づいてる俺と一緒だ、超ダセえ! と。自分の劣等感をニーチェに見透かされたような気分になり、目が覚めました」
それからさまざまな哲学書や偉人の自伝を読み漁り、思考を深めた。その結果起業を思い立つ。
始めたのが、女性向けのアダルトグッズのネット販売だった。
「金も技術もコネもない今の自分ができる唯一の金儲けの手段がネット通販でした。売るのは違法じゃなきゃ何でもいいという心境でした」
ただし知恵は絞った。極力アダルト色を減らし、「オナニーは健康に良い」という売り文句に。罪悪感を薄めるために化粧品などとセット販売。それらが功を奏し、すぐ月30万円ほどの売り上げを達成。初めてにしては大成功だったが、数カ月でやめてしまう。
「子供もいるんで、いつまでもアダルトグッズはどうかと……」
次に取り扱いを始めたのが、当時まだ無名だったミドリムシ原料の健康食品。これがネットで売れに売れた。
そして次に目を付けたのが、スマートフォンだ。修理業者は当時まだ法規制がゆるく、「お金を払って1~2時間も研修すれば、誰でも始められた」という。
店舗を持つ費用がなかったので、美容室などと提携し、お客さんが髪をカットしている間に修理する出張スタイルに。これが人気を集めた。
やがて直営店を出し、フランチャイズ展開も成功。中古スマホの買い取り・販売にも参入し、「アイリメーカー」というブランド名で、全国20店舗まで拡大した。