何でもこなす町のクルマ屋の“爆走人生” 転機は昭和の不人気車スカイラインR31

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「必要に迫られて何かを作ってみたら、次々にそれが欲しいと言われてビジネスになっていったと言いますか。俺もなぜか全然わかんないですよ。ただ柔軟で対応力はあるので(笑)」

 岐阜県の自動車整備工場の2代目にして全国の自動車好きから熱い支持を集める柴田自動車・柴田達寛社長の生き方には力みが見えない。

 大学卒業後、家業を継ぐべく自動車整備の専門学校に通っている時、友人が日産スカイラインR31(7代目スカイライン、1985~90年発売)に乗っていた。スカイラインの中でもR31だけは人気がなく、当時の中古価格は3万円。柴田氏も中古のR31を入手した。

 仲間と一緒に遊ぶうち、インターネット黎明期にホームページを立ち上げる。サイト名は「R31HOUSE」。活動報告を載せてスカイライン愛好者と交流を続け、「ほぼ日本初の」オフ会を長野のスカイライン博物館で開催すると、全国から100台ものR31が集まった。

 その後、コミュニティー内で「R31を修理できる工場があると便利」「部品がなくて困っている」という声が大きくなっていく。柴田氏は「じゃあ、俺んちクルマ屋だから俺がやるわ」と専門店「R31HOUSE」を1999年に立ち上げ、販売と部品取り用で約200台のR31を市場から買い集める。噂を聞きつけ全国から修理の依頼が来るようになった。

「R31HOUSE」は順調だったが、2008年のリーマン・ショックで景気が傾き、客足が減少。危機感を覚えた柴田氏は、釣り堀など副業を考えた末、土日だけ営業するラジコンサーキットを開業する。これが当たった。

「本物みたいなクオリティーのミニチュアのサーキットを作ったんです。そうしたら走っているラジコンがYouTubeに上がって世界中でえげつない再生回数を稼ぎ、英米やら台湾やら世界中から人が来たんです」

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