メルシャン(キリングループ)大塚正光社長(1)入社2年目の姫路支店でアサヒ「スーパードライ」の猛攻に
会社のメインであるビール営業に従事するのは、入社2年目に姫路支店に配属されてから。最初はたつの市や赤穂市を担当。
「酒屋さんにカレンダーをもっていくと、『キリンの方が見えられた』と驚かれることもありました」と言う。
1970年代の初頭から80年代半ばまで、キリンは6割を超えるシェアを有していた。このため、独禁法により会社が分割される危機に直面。営業マンが訪問するのは卸までで、消費者との接点である酒販店までは足を運ばなかったのだ。
一方で、バブル期の87年にアサヒビールが発売した「スーパードライ」が大ヒット。アサヒはキリンを追い上げていた。
やがて姫路市中心街の担当になる。繁華街の飲食店を回ると、キリンからアサヒへと扱うビールを変える店が増えていた。
「お客さんが、スーパードライを欲しいって言うんだよ」と、店主たちは口を揃えた。
「営業マンが、卸と酒販店だけをフォローしておけばいい時代は去った。お客さまを意識しなければならない、と実感しました」