いびつな日本経済…「円安」に喘ぐ庶民と好決算の大企業 主要メーカー109社「増収増益」5割

公開日: 更新日:

「急ピッチな円安によって、日本経済は歪みが大きくなっています。購買力平価では1ドル=100円程度が適正なのに、1ドル=160円まで円安が進み、円の価値は6割も割安になっている。その分、輸出企業は利益が膨らんでいる格好です。円安によって輸出大企業が儲かると、たしかにGDP(国内総生産)は増えますが、GDI(国内総所得)は減少してしまう。この乖離が歪みとなっている。日本政府はGDPを優先しているようにみえます」

 1ドル=160円台の「円安」は、日本株にもマイナスとなりはじめている。ドル建てで運用成果をはかる海外投資家にとって、円安は収益の目減りになるため、海外勢の買いにブレーキがかかっているという。

 もちろん、輸出大企業が取引先に儲けを分配すれば、日本経済全体に「円安」の恩恵が行き渡るのだろうが、実際は輸出大企業が利益を独り占めしている形だ。5兆円という空前の利益をあげたトヨタグループなどは、分配するどころか、下請け50社に金型を無償で長期保管させていた。下請け企業の被害総額は数億円に達するという。

「行き過ぎた円安は、やはり日本経済全体にはマイナスです。なぜ岸田政権は放置しているのか。財界の意向を最優先しているのでしょう」(斎藤満氏)

 市場では1ドル=200円の声も上がっている。庶民と中小企業だけが追い詰められている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    泉ピン子が終活をやめたワケ「渡る世間は(水原)一平ばかり!」スペシャルインタビュー

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在

  5. 5

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  1. 6

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  2. 7

    イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解

  3. 8

    坂本花織の世界選手権66年ぶり4連覇に立ちはだかる…国際スケート連盟の「反トランプ感情」

  4. 9

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  5. 10

    公表された重点施策で露呈…JR東海の株価低迷と時代遅れの収益構造