献金は「社会貢献」…経団連・十倉雅和会長の大きな勘違い
「民主主義の維持には相応のコストがかかる。政党に企業がクリーンな寄付をすることは社会貢献の一環で、重要だ」
■社会貢献とは社会からこぼれ落ちる人をなくすこと
リーマン・ショック後の派遣労働者たちの雇い止めを、09年に取材したことがある。20代の夫婦は派遣会社の寮を追われ、ラブホテルを転々。その後、生活保護で名古屋市内の施設に身を寄せていた。風呂がない。妻は銭湯に通い、夫は節約のためベランダでホースを使って体を洗っていた。妻は「20代で生活保護なんてドン引き。仕事をみつけたら正社員になりたい。子どもがほしいけど、とても産めない」と言った。
「社会貢献」というのは、金の力で政治を動かして、大企業の社員だけを守ることではない。社会からこぼれ落ちる人をなくすことだ。大企業の「我田引水」で今、何が起きているか。経団連の幹部は、大きなビルのオフィスを出て困窮の現場を歩くといい。 (敬称略)