「社会の分断」から「内戦」の時代へ トランプと斎藤元彦知事の支持者はエリート層が大っ嫌い
新聞、テレビ、週刊誌の斎藤バッシングは苛烈を極めた。問答無用、斎藤こそ悪の権化だと決めつけた。百条委員会ができ、不信任決議案は全会一致で可決されるという事態になった。
まるで、斎藤を支持するものは“非国民”といわれかねない異様な空気が日本全体を覆っていた。その最中に私は、この欄(9月16日付)でこう疑問を呈した。おおむねこういうことである。
告発文書は最初、県庁内の保護法に基づいた公益通報窓口を使わず、3月12日に匿名で一部の県議や報道機関に配布された。斎藤がその存在を知ったのが3月20日。翌日、副知事らに徹底的に調査するよう指示し、3月27日の記者会見で斎藤は告発文書を「うそ八百」と断じた。元局長が県の公益通報窓口に告発文書を出したのは、その後の4月4日であった。斎藤側に立ってみれば、告発文書を知った時点で、「公益通報」ではなく怪文書まがいと捉えたとしても、100%非難されることだろうかと。
失職して出直し選挙に出馬した斎藤は、再選されるための戦略を練りに練ったのであろう。たった一人で駅立ちから始めた。既成政党から切り捨てられた哀れな元権力者ではなく、数を頼む理不尽な権力に挑む孤高の挑戦者という“幻想”を有権者たちに抱かせる手法は、ジワジワと浸透していった。端正な顔立ちも効果的だった。弁明に終始するのではなく、これまでの実績と県の未来について語った。