ホンダ・日産統合決裂で思い出す…「三井住友銀行」誕生会見での“ラストバンカー”西川善文氏の言葉
対等の精神で統合を目指すとする日産の内田誠社長とは対照的に、「率直に申し上げれば経営統合が成就しない可能性もゼロではない」(三部氏)とまで言い切った。「ホンダの三部さんに日産の内田さんを思いやる気持ちはみじんも感じなかった」(メガバンク幹部)といえる。
この統合会見を目の当たりにして思い出されるのが、1999年10月14日夕刻、ホテルニューオータニ(東京)で開かれた住友銀行とさくら銀行(旧三井銀行)の合併会見だ。会見に臨んだ住友銀行の西川善文頭取とさくら銀行の岡田明重頭取は、住友と三井という財閥の枠を超えて一緒になる決断をしたことに高揚していた。
記者の質問も出尽くし、司会が最後に選んだのが外資系のメディアだった。そこで飛び出したのが「今回の合併は住友銀行によるさくら銀行の救済だと思うが、岡田頭取はそのことをどう思うか」との質問だった。
■「断じてさくら銀行の救済ではない」
困惑しつつも岡田氏が答えようとした瞬間、横にいた西川氏が口を開いた。「今の質問は承服しかねる。今回の合併は断じてさくら銀行の救済ではない」と。西川氏の強い口調に会場は一瞬、静まり返ったことを覚えている。