楽天・田中の“価値”下げるだけ NPBと選手会の愚
ところが、選手会の反対で返事は先送りに。14日にようやく選手会が「2年限定で認める」と言い出したものの、NPBとのすり合わせはまだ先などと悠長に構えていたから、業を煮やした米国サイドがキレた。
死んだ子の年を数えても仕方ないとはいえ、「日本側が11日のNPBと選手会の事務折衝直後に了承すると返事をしていれば、米国側はまだ受け入れた」(在米ジャーナリスト)という。
ともあれ、譲歩してまで田中が欲しかった米国サイドが「情勢が変わった」と、強硬姿勢を打ち出してきた。米国側の狙いは入札金の抑制だから、修正案はおそらく選手の所属球団に入る入札金をガクンと下げるシステムになる。日本側が納得しなければ今後の米移籍はすべてFA、つまり田中の移籍は海外FAを取得する再来年で構わないと腹をくくっている。
日本側は最終的に、米国側の案を受け入れるだろう。球団は選手にただで出て行かれるくらいなら、多少なりとも入札金を手にした方が得策。選手会にしても、いますぐメジャーに行きたい田中や田中のメジャー挑戦を楽しみにするファンの気持ちを逆なでするとは思えない。選手会は米国側の言いなりにはならないという強硬姿勢を見せたつもりでも、結果として田中の価値を下げるだけ。それが嫌なら修正案を蹴飛ばして、日本中を敵に回すしかない。田中はこの日、MLBが新入札制度を取り下げたことを報道陣から聞かれたが無言だった。