広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛
「中3の夏休みのころが一番問題が起きましてね……。更生しようとしている亜蓮を面白く思わない不良グループから『大会に出るな』とか、いろいろな嫌がらせを受けました。何とか亜蓮を守らないとと思いました」
全国大会には無事に出場した。が、仕返しされる可能性があった。まず早登江さんが教育委員会に転校を訴えたものの、中3の夏では認められないと却下された。そこで今度は淳子さんがツテを頼って市議会議員に懇願。米子市で自宅から一番遠い東山中に2学期から転校することができた。ただ、「待ち伏せされる可能性があるので、淳子さんが学校への行き帰りを必ず車で送迎する」という条件付きだった。
苦しかった中3の夏、逃げずに全国大会で投げたから岡山理大付高から声が掛かった。ここからプロへの道をこじ開けた。
亜大1年時から成長を見続けた大学の先輩でもある広島の松本有史スカウトは言う。
「コントロールがいいし、いい落ちる球も持っている。入団したら直球の質を上げて欲しい。ヤンチャな時代を乗り越えてきただけに、今どきの選手にあまりない、負けん気の強さとか根性とか、そういう精神的な強さも評価しています」