「銀銅」の快挙も…人気底上げには遠い国内ハーフパイプ事情
ともあれ、銀&銅メダリストの誕生で、ハーフパイプの競技人口が増えれば、選手もさらにレベルアップできる。スポンサー企業の参入も相次ぎ、世界で活躍する日本人スノーボーダーが続々誕生――となるのが理想だが、前出の関係者は「ハーフパイプ人気の底上げには、簡単にはつながりにくい」と、こう続ける。
「そもそも国内のハーフパイプのコースは、施設が増えるどころか、既存施設の閉鎖が相次いでいます。原因は、多額の建設費や維持費がかかるからです。その一方で、近年は全国のスキー場のスノーボード専用エリアにレールやジャンプ台が次々に設置され、五輪新種目のスロープスタイルに人気が移っています。ハーフパイプが廃れることはないでしょうし、主要競技として存続はしていくでしょうが、残念ながら一大ブームを巻き起こすことはないでしょう」
平野が住む新潟県村上市は豪雪地としてしられるが、市営のスキー場でスノーボードは滑れても、ハーフパイプのコースはない。平野は自宅からクルマで1時間かけて、隣の山形県まで足を伸ばし練習することもあった。
今大会予選落ちの青野令(23)は、愛媛・松山市出身の冬季五輪選手として4年前のバンクーバー五輪で9位に入り、競技の知名度はアップしたものの、ハーフパイプを取り巻く環境は好転しなかった。