精神科医が分析 誰も気づかなかった浅田真央の“心の変化”
浅田真央選手のショートプログラム(SP)の大きなミスは、五輪の緊張とか、メンタルが弱いというものではありません。
浅田さんは11年12月に最愛のお母さんを失い大きなショックを受けた。今思えば、あの時から、軽い鬱を抱えながら滑ってきたと思います。彼女は真面目で頑張り屋さん、しかも周囲の人に気を使う。こういう性格の人は「メランコリー親和型」といって鬱になりやすいのです。精神的支柱の母親を亡くしたとき、キム・ヨナさんみたいに一定期間完全に休養し、心の整理をすればよかったのです。それがすぐに競技生活に戻った。以後は、周囲に心配をかけたくないので、何もなかったような顔をして練習を続け、大会に出ていたことで、心のエネルギーはどんどんなくなっていったのでしょう。
■団体戦3A失敗で出たある症状とは?
昨年末の全日本選手権の時の浅田さんは顔色が悪く、疲れているのかなあと思ったものです。もう心のエネルギーが枯渇して、物事をポジティブに考えることができなくなっていたのではないでしょうか。それが、五輪の直前から緊張感が増し、先日の団体戦でトリプルアクセルで転倒し、心と体のバランスが崩れてしまい、いわゆるイップスといわれるような症状が出始めたと思います。