「うまい」からこそ不安になる 角界のホープ遠藤の将来
「あんな相撲は本当の相撲じゃない」
ちまたでこんな声が聞かれるのが、新鋭の遠藤(23)だ。
まだ入門1年目とはいえ、技は多彩。土俵際に追い詰められてから逆転勝ちすることも多く、親方衆ですら「見事!」と感心している。
一方、正面からぶつかって四つに組んでの王道相撲は少ない。なるほど、冒頭のファンのように「曲芸さながらのモンゴル相撲みたいだ」という不満の声が上がるのも無理はないだろう。
ある角界関係者は「日大相撲部出身の学生横綱であることと無関係ではない」とこう言う。
「学生相撲の大会はトーナメント形式のため、何よりも『勝つ相撲』が求められる。大相撲と違って興行ではないので、どんな手を使ってでも勝てば官軍。そのため、小技やはたきを連発する力士も多い。やはり学生横綱の千代大龍も当初ははたきを多用しすぎて、師匠の九重親方(元横綱千代の富士)から『相撲をなめるな!』と怒られたこともある」
地道な努力よりも技を磨いた方が勝利への近道になる。学生相撲出身で横綱にまで上り詰めたのが輪島しかいないのも、そうした事情と無関係ではないだろう。