勝つためにそこまで…甲子園出場校にも「殴る指導者」はいる
今回の甲子園にも出場する、ある強豪校の話だ。何年か前の公式戦。その学校の1番打者は、監督からプレーボール直後の第1打席でバッターボックスの内角寄りのラインを消してこいと言われた。
2番以降の打者が極端にホームベース寄りに立つことで、相手投手に内角球を投げにくくさせるのが狙い。バッターボックスの白線があったんじゃ、ベースに寄り過ぎだと審判から注意される可能性もある。それで1番打者は足場をならすふりをして白線を消してくるよう命じられたのだ。
ところが、初球から甘い球が来て、つい、打ちにいったのか、バッターボックスの白線をうまく消せなかった。すると監督は激怒。戻ってきた選手をつかまえてベンチ裏へ。そこにはたまたま地方紙の記者がいたもののお構いなし。記者の目の前で、「なぜ、言われたことをやらない!」と、その1番打者をボコボコにブン殴った。
1番打者は怠慢プレーでミスをしたとか、全力疾走を怠ったとか、明らかな落ち度があって殴られたわけではない。よしんば落ち度があったにせよ、暴力はご法度だ。ただでさえ許される行為ではない上、バッターボックスの白線を消すという理不尽な指示に従わなかったがゆえにボコボコにされた。