一軍復帰後の防御率0点台 ソフトバンク武田が優勝の切り札
「緊張感は常にあります。苦しみながらのピッチングだったけど、粘れたかなと」
お立ち台でこう言ったのが、ソフトバンクの武田翔太(21)だ。オリックスとの首位攻防3連戦に先発のトリとして出場。6四死球と制球に苦しみながら、6回3分の1を4安打無失点に抑えて3勝目(1敗)。2位オリックスとのゲーム差を3.5に広げた。
武田は12年に高卒ルーキーながら8勝1敗の好成績。しかし、その反動で疲労が蓄積。右肩痛を発症し、昨季は4勝4敗だった。一軍復帰は今季の8月だ。
武田にとっては右肩痛程度で悩んでいるわけにはいかない。なにせ、父の重次さんは武田が生まれる前に交通事故で右腕の自由を失った。現在も肩から下は動かない。それでも息子とのキャッチボールに付き合う時は、左手で捕ると一度グラブを外して返球していた。
そんな父に育てられ、幼少期からプロで活躍することしか頭になかった。宮崎日大高では甲子園出場を逃すも、「プロへの道が閉ざされたわけじゃない」と淡々。1年目には「野球はメンタルのスポーツ。プロ野球には技術が凄くても、心が弱い選手もいますよね」と豪語していた。心臓の強さはプロでもトップクラスだ。
ここまで4試合で防御率0.34。オリックス戦は2勝無失点と相性もいい。優勝に向けて、頼もしい若手が帰ってきた。