著者のコラム一覧
鈴木明子プロスケーター、振付師

 1985年3月28日、愛知県生まれ。6歳からスケートをはじめ、15歳で全日本選手権4位。東北福祉大に進学後、一時、摂食障害を患い休養。04年に復帰。10年バンクーバー五輪初出場。13年全日本選手権初優勝。14年ソチ五輪出場。14年3月の世界選手権を最後に現役引退。以後はプロスケーターとして活躍。15年には本郷理華のショートプラグラムで振付師としてデビューした。

<第16回>1カ月で体重8キロ減「絶対に体がおかしくなってる」

公開日: 更新日:

 その後も、吐き気とそれに伴う倦怠感が治まらず、帰りの飛行機の中でもほとんど食べ物を口に出来ずに帰国。仙台の下宿に戻っても、食べ物を見るとステーキのトラウマを思い出してしまい、数日間、何も喉を通らない日々が続きました。

 そんな苦しい思いをした半面、ふと自分の体重を量ってみると、48キロ以下にならなかった体重が数キロ減っていた。食べたいものを我慢してもなかなかできなかった減量が、食事への拒否反応で皮肉にも成功したのです。

 こうなると「欲」が出ます。

「もっと痩せられる」

 普段から先生は他の選手に「太るな!」と怒鳴ることがありました。仮にこの体重を維持できれば、先生に怒られることはない。先生だって、私の体が細い方がいいに決まっているし、ジャンプの跳躍力も体が軽ければ伸びるはず。

 健康を顧みず体重減に走った私は、大学が始まった4月以降も、極力食事を取らない生活を送るようになりました。

 体にいいわけがありません。当然のように、4月下旬になると反動が出始めました。何かを食べなくてはいけないけれど、太りたくはない。そのために何を食べていいのかもわからない。食べ物を見るだけで気持ちも悪くなる。

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