錦織を急成長させたチャン・コーチ 気になる「契約」の中身
男子テニスの楽天ジャパンオープン・シングルス決勝は、世界ランク7位の錦織圭(24)が、同8位ミロシュ・ラオニッチ(23=カナダ)を下し、2年ぶり2度目の頂点に。先週のマレーシア・オープンに続く、日本人初の2週連続優勝となった。
錦織は試合後、涙を見せながらスタンドのマイケル・チャン・コーチ(42)と抱擁。「体力が一番キツかったですけど、限界を乗り越えて勝てたのは観客の皆さんのおかげだと思います」と、ファンに感謝の言葉を述べた。
今季4勝目(通算7勝目)。世界ランクは自己ベストを更新し6位に。世界のトップ8人だけが出場できるATPツアーファイナル(11月9日開幕・ロンドン)のポイントランキングも、6位から5位に浮上した。
錦織の急成長は、昨年末からコーチ契約を結んだチャン氏(89年全仏優勝)の指導が大きい。テニスジャーナリストの塚越亘氏がこう語る。
「チャンの若い頃は、自分のことしか考えていないように感じられた。しかも指導経験がなかったので錦織のコーチになった時は懐疑的でした。でもチャンは、小柄な体格と粘り強さが自分と似ている錦織の眠っている部分を引き出そうと、懸命に教えました。まるで高校の部活みたいに、基本練習も繰り返しやらせた。腕を上げた錦織にそんなこと言えるコーチはこれまでいませんでしたし、教わる方だって受け入れ難い。でも、真面目で素直な錦織はそれを聞き、潜在能力が開花したのです。これはある種の化学反応ですよ」