東京五輪「野球・ソフト復活」に横たわる3つの“大疑問”
東京五輪で野球が実施されれば、球界の発展や競技人口のさらなる拡大につながるという声は少なくない。だが、五輪競技として「野球」が復活するのは東京での1回限りになりそうだ。
そもそも2012年のロンドン五輪から野球が除外されたのは、それ相当の理由があった。夏季五輪の男子競技は4大陸75カ国以上で広く普及している競技に限られる。国際野球連盟に加盟している国と地域は124。世界の競技人口は世界で約3500万人といわれている。これは約4000万人の空手より少ない。
例えばサッカーの競技人口は約3億人。国際サッカー連盟に加盟する国と地域は208。これは国連加盟国(193)より多い。今年のW杯予選には203の国・地域が参加した。
野球は競技人口も少なく、本場米国のMLB(メジャーリーグ)は五輪に非協力的。12年大会から野球が除外されても米国では何ら問題にならなかった。野球場のない国で五輪を開催する際の財政負担が大きいことも嫌われた。
この日、東京五輪での野球実施が決定的になったのは、夏季五輪の28競技枠を撤廃し、開催都市が実施競技を提案できる「特例」によるものだ。時限的に採用されるに過ぎない。
24年五輪の開催都市には米国の4都市も手をあげているが、野球が盛んではない国での開催が決まれば、野球など見向きもされないだろう。