チームが勝つほどベンチに追いやられるイチローのジレンマ
だからといって商売だけに血道を上げるわけにはいかない。マーリンズにとって今季は、03年以来となるポストシーズン進出の願ってもないチャンス。同地区でライバルといえるのはナショナルズくらいなのだ。商売を考えながら、なおかつ勝たなければならない。イチローの起用法には微妙なさじ加減が必要になるだけに、レドモンド監督は悩んでいるのだ。
■監督はベテランを冷遇する傾向
同監督はそもそも、伸び盛りの若手を好む指揮官だ。イエリッチとオズナはレドモンド監督がレギュラーで使い続けた結果、メジャーを代表する外野手に成長した。
その半面、ベテランを冷遇する傾向がある。若手をそろえて年俸総額を抑えるマーリンズは毎年、投打にひとりずつトウの立ったベテランを補強するケースが多い。ただし、あくまでも若いレギュラーのスペア、若手中心のチームのリーダー役としてだ。
昨季はリード・ジョンソン(38)が今季のイチロー同様、「4人目の外野手」として加入したものの、わずか113試合に出場しただけ。打席数は201にとどまった。
レドモンド監督の価値基準の針は最終的に「商売」より「勝利」に傾くはずで、チームの好調が続けば続くほど、イチローの出番は限られそうだ。