著者のコラム一覧
松崎菊也戯作者

53年3月9日、大分県別府市生まれ。日大芸術学部放送学科卒業後は宇野重吉らが率いる「劇団民藝」に所属。その後はコントグループ「キモサベ社中」「キャラバン」を経て、88年にコントグループ「ニュースペーパー」を結成。リーダー兼脚本家として活躍した。98、99年にはTBSラジオ「松崎菊也のいかがなものか!」でパーソナリティーを務めた。現在も風刺エッセイや一人芝居を中心に活躍中。

「球っかぶり」のリスクはどうあるべきか?

公開日: 更新日:

 松山英樹のセカンドショットがギャラリーの頭に当たる事故があった。男性は頭から出血して昏倒し、周囲は騒然としたが大事には至らなかったらしい。

 野球も観客にファウルボールが直撃する事故で訴訟沙汰となった。フェンスを張ったりして安全対策に苦慮しているようだ。球の飛んでくる危険がある席は、客も捕球できるようにグラブ持参を条件にしているところもあるようだが、プロ選手のプレーを少しでも近くで見たいという思いと球が当たるリスクは比例する。スポーツ観戦のリスクもさまざま。

 格闘技はそれを売り物にする。相撲では力士の体がすっ飛んでくる恐れのある桟敷席を「砂かぶり」と呼んで、生の迫力を味わいたい客は好む。テレビ画面で見ると遠近感がないから、土俵と砂かぶりがとても近くに感じるが、実際はかなりの距離があり、往年の朝青龍が相手力士を土俵の外でもダメ押しで突き飛ばそうが、最近底意地の悪さが相撲に見え隠れし始めた白鵬照ノ富士を土俵の外でダメ押しで突き飛ばそうが、簡単には客がとばっちりを受けることはない。

 プロレスなどはレスラーがリングのロープ越しに頭から飛んでくることを呼び物にしている。飛んでくるリングサイドには若手レスラーが大勢で待ち構えて、飛んできたレスラーの体を受け止めて、客がケガをしないようにしている。水族館のイルカショーでイルカの跳ね飛ばした水がザンブと掛かるプールサイドの席を「水かぶり」と呼ぶかどうか知らんが、濡れてもいいように係員があらかじめビニールがっぱを客に手渡すのに似ている。いわばリスクマネジメント。

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