西武・秋山とSB柳田 「打率4割」の可能性を計算してみた
その安全弁として猛打賞(1試合3安打以上)の貯金がモノをいうことになる。秋山は今季4安打が2試合、3安打が16試合と1番打者らしい「爆打ち」が目立つ。6月月間は猛打賞8回(リーグ史上5人目のタイ記録)の.448と頼もしく、「スランプを短く爆打ちを長く」がカギとなる。
柳田は対照的だ。4安打を一度も打っておらず3安打は8回と秋山の半分。ここまで108安打と秋山より24安打も少ないのに、ほぼ同打率を維持しているのは四死球が多いからだ。
四球42、死球10はリーグ最多。打率計算は「安打÷打数」であり、パ・リーグトップの計52を選んでいるおかげで分母(打数)が小さくなり、打率が高くなる「恩恵」にあずかっている。
メジャーではテッド・ウィリアムズが1941年に記録した.406が今のところ最後の4割。わずか185安打での達成だが、当時も148四死球を選んだおかげで打数が小さかったのだ。
テッドの「四死球÷安打」は0.80。柳田は0.48と今のところ物足りないが、チームが優勝争いをする過程で3番を打つ柳田の四球は増えるはずだ。トータル120四死球のモデルなら516打数207安打で4割を達成できる。秋山より100打数40安打も少なくて済む省エネだが、さて結果はいかに。
▽小野俊哉 1961年岡山出身。スポーツ・アクセス㈲取締役社長。早大理工学部卒、味の素、住友金属工業を経て、03年同社設立。プロ野球、メジャーリーグの記録を分析、評論し各メディアやメジャー球団に情報を提供している。