突出する清宮君が心配だ
入学以来、私は松坂を「逆ヒイキ」して徹底的に鍛えた。アメリカン・ノックなどで他の選手の何倍も走らせ、周囲は「小倉が松坂をぶっ壊すのではないか」と心配した。部員はみんなそれを知っている。だから、フィーバーになっても周りから浮くことはなかった。「松坂は小倉にあれだけしごかれた。だから今があるんだ」と誰もが思っていたからだ。
松坂フィーバーは3年時の1年間だったが、清宮君はまだ1年生だから、さらに難しい。高校野球生活はあと2年ある。多少、特別扱いになるのは仕方ないが、1人だけに集中する注目度が他の部員の士気に関わるのは確か。指導者が清宮君に厳しく接することが必要だ。普通にやっているとチームの和が保てなくなる。まだ16歳だけに、本人が勘違いしてしまう恐れもある。
古くは荒木、最近は斎藤と、早実はフィーバーに慣れている伝統校ではある。和泉監督の手腕に期待するとともに、大変な重圧だろうと気の毒に感じるところもある。