心理学者が解説 日本女子ゴルフから「世界の強豪」出ない理由
心理学においても、「ご褒美は必ず何かを達成した後で与えなければならない」という法則がある。アルバータ大学のジュディ・キャメロン博士は、「ご褒美は確かにモチベーションを上げてくれるが、決して成果が挙がる前にそれを差し出してはならない」と主張している。
特にこれから日本の女子プロゴルフ界を背負って立つ有能な若いプロが、コースで成果を挙げる前に手厚い経済面のサポートを受けると、彼女たちの潜在能力にフタをしてしまい、成長を止めてしまうことを私は危惧している。
米LPGAツアーは終盤に差しかかっているが、参戦している日本の女子プロの成績は概して振るわない。今、世界で通用する女子プロを「量産」することが急務である。それには、ツアーシステムの改善が求められる。
例えば、下部ツアーの充実である。ステップアップの試合数を増やし、レギュラーツアーに出場できない若い選手たちになお一層、切磋琢磨する機会を与える。あるいは、ステップアップ上位者数人への翌年のシード権の付与や、QTファイナルのランキングをシーズン途中でシャッフルするなど、優れた若手がレギュラーツアーで活躍できる機会をもっと与える。
シード選手といえども安閑としていられない、群雄割拠の状況をつくり出すべきだ。