ロ軍監督“苦汁の決断” 先発ボルケス登板前に訃報知らせず
メジャーリーガーにとって「家族」はなによりも重要だ。
プロ野球の助っ人が夫人の出産で一時帰国なんて記事をよく見かけるが、米国人にとってはそれが当たり前。女房に子供が生まれそうなときに、仕事をやってるようなのはバカヤローだと思われる。
メッツのバレンタイン元監督はかつて、子供の高校の卒業式に出席するために試合を欠場。インディアンスのマニエル元監督も同様の理由で、同じ日の試合を休んだ。ヤンキースの抑えエースだったリベラは、女房のいとこと、その子供が事故死すると、プレーオフの最中にもかかわらず、母国のパナマへ戻ったことがある。
それだけ家族を大切にするメジャーで“事件”が起きたのは27日(日本時間28日)のこと。ワールドシリーズ初戦に先発したロイヤルズの先発右腕ボルケス(32)の父親ダニエルさんが、試合開始前に故郷のドミニカ共和国で心臓病のため死去。ボルケスは家族の意向で父親の訃報を知らされないまま登板、6回3失点と好投して白星の立役者になった。
ボルケスが訃報を耳にしたのは降板後。試合中だったが、すぐさま球場を後にしたのは無理もなかった。試合前に訃報を聞いていたヨスト監督はボルケスが事実を知った場合に備え、同僚のヤングに先発の準備をさせていたとか。「本当につらい出来事だったよ」とはヨスト監督だ。
家族の意向とはいえ、登板前に事実を知らせるべきか知らせないべきか、指揮官は悩みに悩んだに違いない。