松坂と電話で話をした
創価高時代の田中を私は知らない。途中から肩を痛めて外野手をやっていたという。要するに、高校の2年3カ月という期間では体づくりが間に合わなかったのだ。バネはあるが、無理をすると壊れてしまう。大学入学後にトレーニングや食事面などがかみ合い、体ができ上がった瞬間、花が開くというパターンは実は多い。
東海大相模高時代に対戦経験がある巨人の菅野も、何の変哲もない投手だった。東海大に進学してから急激に進化し、巨人のエースに上り詰めた。その点では教え子の柳も明大進学後に成長し、来年のドラフト候補に名前が挙がるまでになった。高校時代から針の穴を通す制球力には定評があった。1位指名される投手になるには、直球を常時145キロにすること。母子家庭で育ち、宮崎から横浜高に野球留学した。苦労を知っているだけに、1位で入団することが母親孝行になる。
今年は「フィーバー」の年だった。春のキャンプの松坂(ソフトバンク)、黒田(広島)に始まり、早実の1年生・清宮、関東第一のオコエ(楽天1位)は甲子園で名を上げた。野球ではないが、最近はラグビーの五郎丸をテレビで見ない日はない。この中でただ一人取り残されたのは、右肩の手術で今季を棒に振った松坂である。この前、電話で話をしたら「リハビリは順調です」とのこと。2016年の願いは教え子の松坂の復活。できなければ引退するしかない。