日本男子体操「伝説の補欠」が語る五輪演技“幽体離脱”体験

公開日: 更新日:

――でも、大きな失敗はなく、日本は金メダルでした。演技のことは覚えていますか?

「最初の演技は床でしたが、極限の緊張から全く覚えていません。2日目の最後の演技は鉄棒。これだけはよく覚えています。なぜなら、鉄棒を持った瞬間、プロテクターが鉄棒にしっかり絡み、いつもと同じだなと思ったら、不思議な体験をしたからです。意識とは別に、体が自然にというか、オートマチックに演技を進めていく自分と、その姿を鉄棒の上の方から客観的に見ている自分がいた。幽体離脱とでもいうのでしょうか。演技はミスなく続き、世界初の下り技『後方伸身2回宙返り下り』の着地も全く動かなかった。あんな体験をしたのは、あの時が最初で最後です。初日首位のソ連を逆転しての優勝で、表彰台に上がったときは国歌が流れていたので、不謹慎なのですが、とにかく休みたいという思いでした。私はモントリオール五輪の経験から、最悪の状況を想定し、それを受け入れたら、その後は覚悟を決めて最善を尽くすということを学びました」

 最後に五十嵐氏は、リオ五輪での活躍が期待される男子体操チームにエールを送った。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇