DF酒井宏樹 「今の代表は“戦いの幅”を広げている段階」
身長185センチ、体重75キロ。このサイズのサイドバックは日本のみならず、海外を見渡しても珍しい偉丈夫だ。独ブンデスリーガ1部・ハノーバー所属のDF酒井宏樹(25)は、その恵まれたフィジカルを生かして守備に、攻撃にと右サイドでアグレッシブに上下動を繰り返し、存在感をアピールしている。しかし、クラブと日本代表との“温度差”に苦しむ毎日だ。
ハノーバーでは「思うようにいかない」現実に悩み、日本代表では「ステップアップの手応え」を感じながらプレーしているからである。94年米国大会から6大会連続でW杯現地取材を続けているサッカージャーナリスト元川悦子氏が現地ドイツで、そしてW杯2次予選の行われた日本で、酒井宏に直に話を聞いた。
来季の2部降格の大ピンチに瀕しているハノーバー。もっとも、どの試合も相手にコテンパンにやられているわけではない。たとえば日本代表の僚友MF香川真司(27)がプレーするドルトムントとのアウェー戦でもほぼ互角の戦いを見せ、試合後には前向きなコメントを聞いた。
「試合前のムードは暗かったのですが、ドルトムントのホームの熱狂的な雰囲気に感化された部分もあってモチベーションが上がりました。ドルトムントが前に出てくるところでインターセプトして、そこからカウンターを仕掛けることを狙っていました。チームとしてもうまく機能したと思います。0―1(前半を0―0で折り返して後半12分に失点)でしたが、勝ち点1を、いや勝ち点3を獲得できた可能性もありました。ドルトムントは、さすがにクオリティーも高かったですが、相手選手も疲れていたし、本当にもったいなかった。良い試合をやっても、あくまで結果がすべての世界ですからね。苦しい状況ですが、自分自身は動けているのでチームもボクも結果を出せるように頑張りたいと思っています」