日本実業団陸上競技連合 西川晃一郎会長インタビュー<下>
インタビューの最終回は、駅伝とマラソンの関係、東京五輪でのメダルの可能性などについて聞いた。
――元日の実業団駅伝も大学生の箱根駅伝も終わりました。日本のマラソン低迷はビッグイベントで人気もある駅伝が原因という声があります。その点についてはどう思いますか。
「私もいろいろなところからそのようなお話は伺います。これについてはですね、実業団の各社に、何のために駅伝をやっているのかというアンケートを取って調べたことがあります。宣伝という位置づけというよりは、多くは企業の社会的責任(CSR=コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティー)の一環として、広くは日本のスポーツ界、または地域に貢献したり、もっと端的に言えば、会社の士気やモラルを高めるということです。特にモノづくりの会社はチームでやっている。たすきをつなぐ素晴らしさですね」
――実業団の駅伝は会社の宣伝ではないと。
「私も日立製作所で専務をやっておりましたが、一番最初に考えたのは、地域なり社会への貢献、2番目は事業所の結束力、士気を向上させることです。駅伝は確かに社名は出ますが、それで製品がたくさん売れるという感覚は、経営者のみなさんは持っておられません。唯一いいことは、社員が新年の年始回りに行ったときに会話が弾むのです。それも宣伝といえば宣伝ですが、その程度です」