日本実業団陸上競技連合 西川晃一郎会長インタビュー<下>
――それにしても、国内ではマラソンより駅伝の方が大人気です。
「駅伝は日本の長距離の分厚い層を維持できている最大の理由だと思います。韓国(男子)がリオ五輪でもっとひどい状況(131位、138位)になりました。あれは駅伝とか選手を支える仕組みがなかったからです。東アフリカ勢がこれだけ強いですから、欧米は市民マラソンの層は分厚いですが、競技マラソンの選手は少なくなってきている。日本の駅伝をベースにしたトップランナーの分厚い層はなくすべきではないと思っています。実業団システムは、たぶん日本しか残っていないでしょう。いいものは持ち続けてもいい。ただし、駅伝は箱根を頂点として、すごく注目を浴びていますので、選手も指導者も駅伝でプレゼンスを大きく出すことが、自分たちにとっていいことだと考えがちだということはあると思います」
――実際そうではないですか。だから実業団も駅伝に力を入れている。
「瀬古(利彦)さん、宗(茂、猛)さん、円谷(幸吉)さん、君原(健二)さんも、みんな駅伝を走りながら、マラソンであれだけの記録を出してきたわけですから、駅伝をやるからマラソンがダメだというのは説得力がないです。一方で、これだけ駅伝に注目が集まっている中で、マラソンという、ひとつレベルが違うものに挑戦する仕組み、支える仕組み、褒賞制度などで成功した人をもっと報いる。そして、オレもマラソンに挑戦したいという仕組みを回していく。駅伝をベースに、その仕組みをどうつくるかということに尽きると思います」