出世より相撲道を追求 ベテラン嘉風は上位陣泣かせの職人
だからだろう。上位陣相手でも一歩も引かず、かち上げや張り手を食らってもひるまない。5月場所初日は横綱稀勢の里を攻め、一方的な相撲で圧勝。横綱、大関からすれば、油断できない力士だ。
信念の強さは土俵内だけにとどまらない。
2009年に弟弟子の若麒麟が大麻取締法違反(所持)で逮捕された時、責任を取って部屋の閉鎖も検討していた尾車親方(元大関琴風)に「親方がやめるなら、僕も引退します」と言って、翻意させた。
自宅に帰れば、良き夫、良きパパだ。
一時期は夫人が子供のために作ったキャラクター弁当を、SNSに連日アップ。「娘の幸せは私の幸せ」とも書いており、家族を溺愛するさまがうかがえる。
すでに親方株も取得しており、あとは気の済むまで、相撲道を追求できそうだ。
▽よしかぜ・まさつぐ
本名は大西雅継。1982年3月、大分県佐伯市出身。日体大相撲部3年時にアマ横綱に輝くも、卒業を優先。幕下付け出しではなく2004年に前相撲でデビューした。巧みな攻めが特徴。176センチ、145キロ。最高位は関脇。