打った瞬間、バットを放り投げるほど完璧な当たりだった。
阪神の糸井が延長十回、ヤクルトの4番手右腕・近藤から、プロ初となるサヨナラの12号ソロ弾を右翼席へたたき込んだ。プロ14年目でこのホームランが137本目。チャンスに強いイメージがあるだけに、サヨナラホームランが初めてと聞いて「えっ!?」と思ったファンは少なくないだろう。
糸井がお立ち台で「やりました! 甲子園でサヨナラホームランを打てて最高の気分です」と言ったその数十分前、首位広島が巨人に競り負け優勝マジックが消滅。2位阪神と広島とのゲーム差は6.5に縮まった。糸井の強烈弾は、虎ファンをその気にさせる「初仕事」だった。