フェデラーとナダル “最高峰の2人”が日本で見られない訳
大物選手の多くは、楽天オープンと同時期開催のチャイナオープンに参加する。2大会のグレードは同じ。賞金総額が楽天の156万3795ドルに対しチャイナは302万8080ドルと差があるが、それは表面上のことだ。
09年の上海で、ナダルになぜ日本に来ないか尋ねたことがある。その答えは、いまも記録に残っている。
「You can ask the Tokyo tournament if they invite me, no?(東京の関係者に招待しているか聞いてみたら?)」
招待していないのだ。
■“最高の観客”への甘えでは
大会が2つあれば、選手に選択権が、大会には競争が生じる。ナダルがその翌年の楽天に来日したのは大会が招待、競争したからだ。代理人相手の招待交渉はナマぐさい話もあるだろうが、招待=競争しない理由もある。
まず錦織圭効果。錦織さえいれば切符は即刻完売する。それ以前に大会の構えがある。楽天ジャパンオープンの主催は公益財団法人日本テニス協会で、選手招聘の責任者は協会理事。たとえば、主催者にはワイルドカード(推薦枠=楽天は3)があるのだが、楽天ではそこにデ杯など協会への貢献度が絡むから話がややこしい。大会が選手強化と連結し、「現在の観客」のためではなく「将来の日本のテニス」のためとなっている。