1000m銀の小平奈緒 アラサーからの進化に専門家も驚嘆
「本人は『オランダに行って強くなったと言われているけど、日本にも素晴らしい指導者がたくさんいる。日本のスポーツ科学の素晴らしさを証明したい』と言っていますが、自らオランダへの単身留学という厳しい環境に身を置いたことで、課題だった精神面が鍛えられたのは間違いありません」(スケート関係者)
■力感なしの滑りの秘密
無論、変わったのは精神面だけではない。
身長165センチ、体重60キロ。外国選手に比べれば小柄な小平はオランダ留学で、体に対する意識も高まった。
それは、自らがオーダーして作った1本歯のゲタに表れている。1本歯のゲタを履くと、体の軸が安定しなければ腰を落とした姿勢はキープできない。小平はウオーミングアップで毎回、このトレーニングを行っている。旧ユーゴスラビアの代表スキーチームでフィジカルコーチを務めた平山昌弘氏がこう言う。
「スキーやスケートは下が雪や氷で滑りやすい。力ずくでは下半身を安定させることはできません。重心の位置が命ともいえるのです。1本歯のゲタを履いての練習は、自分の体を支える重心位置が分かる。氷上でも重心位置が把握できれば、筋力ではなく、体重をスピードに転嫁できる。よって、エネルギー消耗率は低くなり、持久性もアップします。小平は古武術の指導も受けているそうですから、そもそも重心についての意識は高かったはずです。1本歯トレを始めたのは2年ぐらい前ということだから、スケート王国のオランダへの留学により、改めて重心位置について感じるものがあったのでしょう」