1000m銀の小平奈緒 アラサーからの進化に専門家も驚嘆
■屋根裏部屋での2年間
が、アラサーになった小平はここから驚異の進化を遂げる。
昨年5月に31歳になって迎えた今季は、500メートルのW杯で7戦全勝。一昨年の10月から始まった国内外での連勝記録を「24」に伸ばした。1000メートルでも昨年12月のW杯米国大会で日本女子として初めて世界記録(1分12秒09)を更新。「絶対女王」として迎えた自身3度目の五輪で、まずは銀メダルを取った。
転機になったのが、2年間のオランダ留学。ソチ後に単身で海を渡り、現地のプロチームに飛び込んだ。オランダはソチ大会のスピードスケートで23個ものメダルを獲得した「スケート王国」。その本場で英雄視される元金メダリストの女子指導者、マリアンヌ・ティメル氏に師事し、心身を磨いた。
日本では常に傍らにいたコーチ、専属トレーナーやスタッフはおろか、通訳すらいない生活。言葉も分からない中、小さな窓からわずかに日が差し込むだけの屋根裏部屋を借りて住み、自らハンドルを握って米や味噌などの日本の食材を探して自炊した。