ブルペンで制球がバラつく松坂大輔を見てむしろ安心した
勝負どころでスイッチが入ってからが「怪物」の真骨頂で、その前に暴れているからこそ、ここぞという場面での迫力が増す。松坂は超実戦型の投手なのだ。
「おまえはマウンドに上がってナンボのピッチャー。投げられさえすれば、結果は出る」
というのは、そういう意味である。
日本球界復帰後のソフトバンクでは、3年間で1試合にしか投げられなかった。肩に異常を抱えながら、しかし、4億円ともいわれた年俸をもらっている手前、無理をせざるを得なかったのだろうと推察する。焦って肩に負担をかけ、状態が上がらないから、また焦る。その繰り返しだったのではないか。
年俸1500万円と報じられる中日では、少なくともソフトバンクで感じていたような重圧はない。ダメなら引退という崖っぷち。いい意味で開き直っているのは、グラウンドでの実に楽しそうな表情から見て取れた。私にとっては、ブルペンよりそっちの方が収穫だった。
森繁和監督は、「10日に1回、20日に1回、1カ月に1回でもいいから先発で投げてくれれば」と言っているようだが、それには反対。今後、肩に異常が出ず、故障の不安がなく開幕を迎えられるのであれば、先発ローテーションに入れるべきだと思う。
イレギュラーな先発に対応できるような器用なタイプではない。投げれば投げるほど真価を発揮するからこその、超実戦型投手だ。