権藤博氏が大谷に進言 強打者に「高め厳禁」の常識捨てろ
ボールとマウンドの問題を解決する必要はあるものの、それには慣れるしかない。つまり、時間が解決する。投手としてのメカニックに重大な欠陥があるわけではないのだから、焦る必要は何もない。ゆっくり、じっくり、メジャーの環境に順応していけばいいだけのことである。
そんな話をしたら、大谷も“もちろん、そのつもりです”とばかりにうなずき、ニコニコとあの人懐こい笑顔で聞いていたから、安心した。メディアも含め周囲はいろいろと心配するが、当の本人は悠々としたもの。目先の結果に一喜一憂するのではなく、しっかりと先を見据えて課題を一つ一つクリアしていこうという構えなのだ。
その段階で、ついでに頭の中身も変えたい。日本では、強打者を迎えた時ほど、「低めに投げろ、低めだ」とコーチが「高め厳禁」と念を押す。そういう日本的常識は捨てた方がいい。大谷の160キロを米国でも生かすには、むしろ、高めに投げなくてはいけない。ベルトより下のコースだと、160キロの「外角低めのナイスボール」でも危ない。手が長く、踏み込んでくるメジャーの打者は、そこにもバットが届く。腕が伸び切ったところだから、飛距離も出る。それがベルトより上の高めなら、大谷の球速と球威が最も増すエリアだし、打者のバットが出にくいところでもある。
ただし、「変化球は低めに」という鉄則は日米共通。真っすぐは高く、変化球は低く。一応、大谷には伝えてきた。