今やカーブは希少種…興味深かった中日柳のプロ初完封勝利
ナゴヤドームで行われた10日の中日―ヤクルト戦を地元局とCS放送の中継で解説した。中日2年目のドラ1投手、柳裕也(23=写真)がプロ初完封勝利を挙げた試合である。
好調ヤクルト打線を2安打2四球に抑え、試合はわずか2時間18分で終わった。制球がよく、直球に変化球をうまく織り交ぜ、相手打者に的を絞らせなかった。特に効いたのは、柳が得意とするカーブ。「ドロップ」と称された昔の落差の大きいものに比べたら変化は小さいが、この球があるから140キロそこそこの直球でも打者を詰まらせることができるのだ。
以前は変化球の代名詞だったこのカーブ、今はすっかりその使い手が少なくなった。左投手は別として、パッと思い浮かぶのは、柳とソフトバンクの武田翔太(25)、楽天の岸孝之(33)くらいだろうか。代わりに台頭したのがスライダーで、これを投げない投手はいない、というくらい。
理由は明快。スライダーほど投げるのが簡単な変化球はないからだ。ストレートを投げるのと同じ腕の振りで、ちょっと手首の角度を変えてやるだけでいい。カーブより変化が小さいから、制球もしやすい。真っすぐと球速差が少ない分、打ち損じを誘えて球数を減らすのにも効果的。いいことずくめなのだが、もちろん、そういうものには落とし穴もある。