灼熱甲子園 “大人の都合”で球児を危険にさらしていいのか
犠牲者が出てからでは遅すぎる。日本高野連は熱中症対策を行っているのか。
「各県の高野連には19日に、熱中症対策に万全を期すよう文書を出しました。甲子園でも対策はきちんと取っています。理学療法士が常にベンチ裏に待機し、スポーツドリンクも用意している。ベンチの中はエアコンが効いており、空気が循環するようにスポットクーラーも置いてあります。観客にも常に熱中症の注意喚起を呼びかけるようにしている。スケジュールの見直し? それはやっていません。夏以外に長期休暇はないので、この時期以外に大会はできませんから。ドーム球場でやるべきという声もありますが、果たして球児たちも甲子園以外で納得するのかという問題もある。甲子園イコール高校野球ですからね」(日本高野連本部)
対症療法しかできず、スケジュールを変える気もなし。そもそも、いくらベンチが涼しかろうが、この炎天下で大会を行うこと自体がおかしい。
■日本スポーツ協会は「原則中止すべき」
環境省は熱中症対策として、「WBGT」という暑さ指数を提示している。これは湿気や日射・輻射熱(地面や建物・体から出る熱)などの熱環境を加味したものだ。日本スポーツ協会はこのWBGTをもとに、「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」を作成。これによると、気温35度以上は「運動は原則中止」。31~35度でも「激しい運動は中止。熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける」とある。ただでさえ高温多湿の日本にあって、こうした指針を無視する高野連は無謀としか言いようがない。