灼熱甲子園 “大人の都合”で球児を危険にさらしていいのか
「注意の喚起は行っていますが、法的効力があるわけではないので……。高校野球について? 指針を出している以上、原則中止すべきとは考えています」(日本スポーツ協会スポーツ科学研究室)
前出のスカウトが言う。
「結局、すべて大人の都合なんですよ。例えば宮崎大会は、たった1試合しかない決勝戦を、わざわざ一番暑い日中の午後1時から行った。この時間にテレビ放送が決まっていたから、変更するわけにはいかないというのです。現在の高校野球は子供たちの安全など、脇に置かれている。京都大会では日中を避けて試合を行ったが、そんなのは英断でも何でもなく当たり前。しかも、高校生が夏に野球をやっているから、中学の大会までも夏に開催されている。大人のエゴで子供たちが犠牲になっている」
スポーツファンの吉川潮氏(作家)は「高野連は固定観念にとらわれている」と、こう続ける。
「例えば5~6月に予選を終えて、暑さのピークが過ぎた8月下旬に本大会を行うなど、方法はあるはず。それができないなら夏の甲子園なんてやめて、春のセンバツを高校野球唯一の祭典にすればいい。人命を考えれば、それが一番いい。でも、オリンピックが米国のテレビ局の都合で夏に開催されるように、今の高校野球も商業主義にまみれていますからね。本来ならメディアがキャンペーンを張って注意を促すべきですが、なにせ夏の大会の主催者である朝日新聞は、この件に関してはだんまり。何か手を打たない限り、本当に犠牲者が出てしまいますよ」