創部10年で神宮初出場V 札幌大谷の強さは“中高硬式”にあり
13日の明治神宮大会決勝は、札幌大谷(北海道)が星稜(北信越・石川)を2―1で下し、創部10年目で初出場初優勝を飾った。北海道勢の優勝は田中将大(現ヤンキース)を擁した2005年の駒大苫小牧以来2度目となった。
札幌大谷は1点を追う七回、1番・北本が逆転の2点適時打を中前へ。投げてはエース西原が星稜打線をわずか1安打に抑えて完投した。
船尾監督は「何が起きたか分からない。(大会を通じて)投手全員がしっかりいい投球をしてくれた」と称えた。聞きなれない学校だが、16年春に初めて北海道大会を制し、夏は南北海道大会の準々決勝、準決勝に進出するなど、甲子園にあと一歩のところまで迫っていた。
スポーツライターの美山和也氏がこう言う。
「強化の秘訣は付属中学にあります。相手の星稜も中学の軟式野球部は全国制覇をするくらいの強豪。今回の星稜は付属中学出身の選手数人がベンチに入っていましたが、『中学の軟式出身者は、高校入学後に硬式ボールに慣れるまで時間がかかる』と強豪校の指導者は口を揃えます。例えば明徳義塾や桐蔭学園などは、中学の軟式野球部も強豪で知られますが、高校でベンチに入れるのは、せいぜい1人か2人。硬式のクラブチーム出身者がレギュラーの大半を占めるのは今や常識。けれども、札幌大谷中の場合、『シニア』に所属し、『硬式野球部』であるところがミソなんです。高校から入学する外部生もいますが、エースの西原ら神宮大会のベンチ入りメンバー18人中10人が付属中学出身。16年にシニアの全国大会8強に入ったメンバーが中心になっています。強化といえば、高校で選手を集めるケースが多いですが、中高一貫の6年間で、みっちり硬式野球を仕込めるのが結果につながったと思います」
初出場が確実な来春のセンバツも「一貫」の強さで上位を目指す。