NHK大河「いだてん」のモデル 金栗四三の苦労と功績を知る
NHK大河ドラマ「いだてん」が順調にスタートを切った。日本のオリンピック代表1号で、マラソンの父といわれる金栗四三をヒーローに仕立てたドラマだ。
大河ドラマは歴史物語だが、どうも史実と信じる人が多くて困る。今回、番組の最後に「これは事実をもとにしたフィクションです」と断りをつけたのは異例の措置だという。
金栗が他界したのは1983年だから、同時代を生きた人はまだ大勢いる。事実と異なるといわれても困るという制作側の懸念であり、スポーツはノンフィクションか否かと、そんなヘビーな議論は勘弁してほしいだろう。大河の奔放な筋書きはそれとして、金栗の功績は押さえておきたい。
■日本でマラソンは階級的に下だった
日本のマラソンには独特の社会評価がある。欧米や戦前の日本で、マラソンが陸上競技の範疇にはなかったことはあまり認識されていない。陸上競技はそもそもトラック&フィールドを指し、競歩を含むロードレースは賭けの対象だったためアマチュアリズムの伝統と相いれなかった。我が国にも階級の壁があった。