元横綱双羽黒・北尾光司氏死去 角界OBが明かす“最強伝説”
第60代横綱双羽黒こと北尾光司氏が慢性腎不全により2月10日に死去していたことが、29日分かった。55歳だった。
199センチ、151キロの巨体を生かし、新入幕から2年足らずで大関に昇進。一度も優勝がないまま、1986年9月場所から横綱に昇進した。しかし、その後も稽古嫌いがたたったのか賜杯に縁がなく、所属していた立浪部屋の女将に手を上げるなどして87年12月に廃業。横綱在位わずか8場所だった。その後は、プロレスラーに転身。こちらも長続きせず、スターにはなれなかった。
それでも恵まれた体格とずばぬけた身体能力から、いまだに角界では「北尾最強説」が根強く残っている。285キロの小錦の右ヒザをサバ折りで破壊した取組は、いまだに語り草だ。
古株の角界OBが言う。
「稽古嫌いとワガママな性格さえなければ、さまざまな記録を作ったでしょうね。身体能力が高く、何をやらせてもうまかった。特筆すべきは上腕のパワー。まわしを取って、相手を引きつけながら前に出る。これだけでほとんどの力士は抵抗できなかった。強すぎるあまり、立浪部屋の先輩からは〈あんなのと稽古したら、こっちが壊される〉と敬遠されていたほどです。本人は当時、〈オレは三役でいい。横綱、大関になったら、後は辞めるだけでしょ〉なんて話していたが、その通りになってしまった」
近年は角界やプロレス界の関係者とも疎遠になっていたという。