初登板初勝利も直球勝負 日ハム輝星“賭け”に勝ちっぱなし
ピンチになろうが、お構いなしに自慢のストレートで押しまくった。
12日、日本ハムの吉田輝星(18)が広島戦でプロ初先発。5回1失点でプロ初勝利を挙げた。
昨年の秋、吉田は「後悔のないような道を選びたい」と言って、プロ入りを決断した。夏の甲子園で881球を投げ抜き準優勝。「金足農旋風」を巻き起こした右腕はすでに、八戸学院大への進学が内定していた。同大の正村監督は、定期的に指導を受けた“師匠的”存在。決め球のスライダーを伝授されるなど、高校トップクラスの投手に引き上げてもらった恩があった。甲子園前にはその正村監督と、吉田と同監督をつないだ金足農元監督の嶋崎久美氏、そして金足農の中泉一豊監督との四者面談で、ハッキリと「大学へ行きます」と口にした。
吉田の意思表明を受けて、大学側は授業料、寮費、遠征費などすべてをバックアップする「スーパー特待生」として迎え入れる準備を整えたが、甲子園後に吉田の気持ちが一変する。
「甲子園の快投と、その後に行われたU18アジア選手権で一気にプロ入りへ傾いた。父の正樹さんは大学進学を望み、定年を迎えるまで働けるサラリーマンとは違い、野球選手が働ける期間は決して長くない。プロ入りするにしても大学を卒業してからでも遅くない、と説得したそうだが、吉田はかたくなだったそうです。『プロに行きたい』と繰り返す吉田に最後は正樹さんも折れ、『自分が責任を持って決めた進路を尊重する』と背中を押した。甲子園後には金足農の中泉監督の母校である青学大も関心を示したそうですが、それらをすべて捨ててプロ入りを決断したのです」(学校関係者)