貴景勝の7月場所休場で…師弟関係の希薄さまた浮き彫りに
「稽古が万全じゃないから、休場しろ、休場しろと言っている。本人は『(右ヒザに)違和感があったら名古屋に来てない。東京で治療やリハビリをしています』と言うが、まず稽古をしていない。このままではぶっつけ本番みたいになる。相撲はそんなに甘くないですから。師匠として(本場所に)出させるわけにはいかない、と」
これに貴景勝はなおも、「出たい、出させてください」と強弁。何が何でも出るつもりで、親方の説得に耳を貸そうとしなかった。
貴景勝にすれば、休場=大関陥落とあって、「出たい」と思うのは当然。しかし、いくら本人が「右ヒザの状態は万全に近い」と言っても、そもそも関取衆と胸を合わせていない。去る2日に相撲を取る稽古を再開したものの、相手は同部屋の幕下か、それ以下の力士。状態を測る相手としては不足も不足だ。
貴景勝は先場所5日目から、右ヒザのケガで休場。8日目に強行出場するも、あっさり負けて9日目から再休場となった。
評論家の中澤潔氏が言う。
「大所高所から見て、総合的に判断した千賀ノ浦親方の言葉には説得力がある。最悪の事態を防ぐため、言って聞かせるのが親方の役目ですからね。もし、先場所と同じように途中休場となれば、『大関の相撲かよ』とファンに失望されかねません。弟子を説き伏せられなかった親方自身の指導力も疑問視される。これが手塩にかけた弟子なら、びしっと『休め!』と言えたのでしょうが、貴景勝は貴乃花から引き取った力士だから、どこか遠慮もあったのでしょう。貴景勝も貴景勝で、おそらく『自分を育てたのは貴乃花』と考え、自分の意志を通したいと意地になっていたのではないか」