右代の世陸誤内定 「レベルが低い」陸連を牛耳る筑波大OB
「筑波大枠」
麻場氏の会見を「テレビで見た」という、ある陸上関係者はこう語る。
「今の陸連は筑波大OBが幅を利かせている。尾縣貢専務理事、麻場強化委員長、河野匡長距離・マラソンディレクター、鈴木一弘競技運営委員長はみんな筑波大です。リオ五輪の三段跳びの選考ではこんなことがあった。五輪代表になった筑波大の山下航平は5月の関東インカレで五輪参加標準記録に到達したが、優勝すれば代表入りが決まった6月の日本選手権は3連続ファウルで記録なし。7月の南部記念で平凡な記録(16メートル18)で優勝し、強化委員会の推薦による追加選出で代表入りした。インチキではないが、当時は『筑波大枠』といわれたものです。今も陸連内部で学閥の話が取り沙汰されていること自体、改革が遅れている組織ということです」
■十種出身の専務理事は辞任必至
今回の事件についてスポーツライターの武田薫氏が言う。
「右代の一件は許されることではない。陸連の尾縣貢専務理事は十種競技で日本一になった人です。難しい競技なのに国内では地味で注目もされない。専務理事はスポンサーもつかない厳しい環境であることを一番知っているはずです。右代につらい思いをさせた責任は非常に重い。麻場委員長をクビにして済む話ではない。自ら責任を取って辞めるべきです。こんな事件が起きるのは、陸上のあるべき姿を忘れているからです。陸上の主体はトラック&フィールドです。そこを軽視している。日本人はマラソンが好きなので、代表選考会のMGCで前景気をあおっているが、MGCもマラソンも五輪後の展望はない。球技専門になるはずだった新国立競技場に陸上トラックが残ることが濃厚だ。それも費用の問題で結果的にそうなっただけ。陸連の努力ではない。陸連はどこを向いているのかと言いたい」
選手をバックアップするどころか、つぶしかねない前代未聞の大事件。陸連はどうやって責任を取るのだろうか。