ロッテ1位・佐々木朗希<2>母は女手一つで息子3人を育てた
夏の岩手県大会中、朗希は自身や相手校の研究にいそしんだ。夕食を食べている間も熱心に映像を見た。
「私は全く野球のことはわからないのですが、テレビで解説者の方が『スライダーのキレが素晴らしい』と話したことに対して、『フォークだし』などとブツブツ言っていました(笑い)」(陽子さん)
甲子園出場はかなわなかったが、朗希はU18W杯に向けて自主トレに励んだ。陽子さんは朝、朗希のトレーニングウエアを用意して、仕事に出掛けた。夜に帰宅して、ウエアが洗濯機に放り込まれているのを見て、「ああ、今日は練習をしてきたんだな」とその日の様子を確認した。思春期の息子と母。163キロを投げて日本中の注目を集める怪物だが、普段は至って普通の18歳だと母は思っている。
■「ゼロに抑えられてよかった」
9月6日。U18の韓国戦で朗希が先発した。陽子さんも開催地である韓国へ飛んだ。
現地の食事に苦労する朗希に、カルピスとカップ麺を差し入れた。試合では初回にマメを潰して降板したが、周囲の心配をよそに「1イニングだけでしたけど、ゼロに抑えられてよかったです」と努めて前向きに話した。