五輪マラソンコース決定の裏にあるIOCの打算・反発・思惑
あるJOC関係者が言う。
「IOCが東京五輪のマラソンを800キロも北の札幌に移転したのは前例づくりでしょう。高温多湿のドーハで行われた世界陸上のマラソンで途中棄権者が多かったというのが移転理由になっているのは間違いない。しかし、バッハ会長は金のかかる五輪を何とか継続させるため競技の時短と経費削減にこだわり、『アジェンダ2020』の中で、複数の国や都市での分散開催を認めた。今年は欧州を襲った猛暑で、2024年五輪開催地のパリでは40度を超え、史上最高気温を72年ぶりに更新した。東京五輪の分散開催が前例となれば、パリ大会やその後も同じことができますから」
この関係者は、マラソンコースについてもこう語る。
「東京の中心部を走る五輪のマラソンコースがもしも10キロの周回だったら札幌に移転したでしょうか。五輪のマラソンは2012年ロンドン大会で初めて周回コースとなった。観光名所が点在する市内中心部を3周するコースは曲がり角が約100カ所もあり、古い石畳や路地も『走りづらい、危ない』と選手に不評だった。リオも周回コースでした。周回はワンウエーに比べて経費が安く、運営の効率化もはかれる。沿道の市民も観戦しやすい。マラソンの周回コース推奨については、IOCも世界陸連の考えも一致している。五輪のマラソンは周回で固定化したいのです」
今後、五輪のマラソンはすべて「42.195キロロードレース」になりそうだ。