名将が占うロッテ佐々木の1年目「懸念材料は意識の部分」
智弁和歌山名誉監督・高嶋仁氏
佐々木くん(大船渡)には、ゆくゆくはプロ野球を背負う立場になってほしい。非常に楽しみな選手です。
ただ、心配な点もあります。私の教え子に、高卒でプロに入った中日の岡田がいる。2009年ドラフト1位で、初めて一軍のマウンドに上がったのは13年。高校時代から145、146キロを投げていたのに、二軍時代は「140キロすら出なくなった」と悩んでいました。つまり、フォームをいじられたんですね。最初は「プロの言うことだから……」と、コーチの指導を聞き入れていたのでしょう。でも、岡田は頑固ですからねえ。次第に言うことを聞かなくなったのが良かったんじゃないかな。佐々木くんの性格がどうかは知りませんが、時には助言を聞き流すことも必要です。
佐々木くんは肩ヒジの関節が相当柔らかいのでしょう。だからこそ、最速163キロのボールを投げられる。大船渡では全力で投げず、あえて何割かの力でピッチングをしていたと聞いています。それでも150キロを出せるのだから、プロでも十分通用する。力を抜いた投球を身につければ、長く活躍できるようにもなります。そんな佐々木くんに対し、球団もメディアも160キロを期待するのは禁物。故障したら元も子もありません。