サニブラウン“上げ潮”に乗り88年ぶり五輪ファイナリストへ
陸上男子100m サニブラウン・アブデル・ハキーム(20)
日本勢の中で最もファイナリストの期待を抱かせるのは、日本記録の9秒97を持つこの男。19年の世界陸上(ドーハ)は1組5着(10秒15)で準決勝敗退だったが、ピストルの音が聞こえず出遅れるアクシデントがなければ決勝も、と期待を抱かせる追い上げを見せた。一方、このレースや9秒97を出した全米大学選手権決勝で「後半にストライドが伸び過ぎてしまった」と語るなど、課題はある。
「東京五輪100メートルの決勝に残るためのひとつの目安は準決勝の時計」と言うのは、陸上に詳しいスポーツライターの高野祐太氏だ。
「五輪、世界陸上を通じて決勝進出に必要な準決勝の時計が15年世界陸上(北京)で初めて10秒を切った(9秒99)。ドーハの世界陸上準決勝で最も遅かった決勝進出時計は10秒12。ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が引退して以降、決勝進出のレベルが停滞している印象はあるものの、準決勝は9秒台かそれに近い時計を出したい」
自己時計が9秒台ならファイナリストになる一応の「権利」を持っていることになる。しかし、「9秒台で走ったことがある」ということと五輪の男子100メートル決勝を懸けた準決勝で「9秒台を出す」ことは別物だ。